私の故郷にある岩手山は標高2038m、百名山のひとつでもあり雄々しく美しい山である。
実家はこの岩手山と向かい側にたたずむ姫神山の間にあり、私は子どもの頃からこれらの山を事あるごとに眺めて育った。20代までは体力がなく、山登りは自分には無理だとあきらめていたが、食事を変えて体質が少しずつ変わり体力もついてきたので、まずは2年前に姫神山に登ってみた。
すると、小学生の遠足での登山の時より楽に登れて自信がついたので、今年は念願の岩手山を試みた。山に詳しい弟にガイドしてもらっていざ出発!
さて、私は無事に登頂できたでしょうか?続きは、もっと見るをクリックしてね。
あいにく、前日まで雨降りで当日もギリギリまで迷うが、山の方は雨が降っていない!という弟の力強い言葉で、登山を決行することに。
登山口に着いたら確かに雨は降っていなかったので、準備を整えてゆっくりと歩き始める。まず、森の中を次第に高度を上げていき、中腹に溶岩がゴロゴロとある開けたところに出る。
すると、ちょうどその場所は晴れていて眼下に雲海が広がってていた・・・素晴らしい景色だった。
晴れてなかったけれど、ガスのかかった中を歩くと音が消され幻想的な雰囲気で、あまり暑くもなくこれもいいな、と感じた。
その場所でふと前方を見ると・・蛇が溶岩の上で見事なとぐろを巻いていた。たぶん、晴れ間に甲羅干しをしていたのだろう。
私は、怖いとは全く思わず、むしろ山の神さまに会えたと感じ崇高な気分になった。なぜかというと、民俗学者の吉野裕子「蛇」を読んでから蛇に対する考えが変わったからである。
私は写真を撮ろうと蛇さまに近づき、しゃがんだら蛇さまが首をもたげ目が合った。そして、一瞬の後動こうとしたので私は手で待てというサインを送り、写真を撮らせてとお願いしたらこの状態のまま蛇さまは待ってくれたのだ。最後にお礼を言うと瞬く間に溶岩の下に隠れておしまいになった。
山の神さまに会えたことで心が満ちていく感じだった。
蛇さまと別れ休憩してから歩き出すと・・山の中腹に群生している高山植物「コマクサ」が可憐な姿を現す。
このゴツゴツした地に可愛らしいピンクの花を見ると、ここまで登ってきて良かったとつくづく実感する。弟によると、高山植物は決して持ち帰ってはいけないのに、持ち帰る人がいるそうで、でも環境が違うので同じように咲けなくなりそのうち枯れたりするそうだ。
あたりまえだよね!高山植物は、苦心して登るから見られるご褒美みたいなもの、だと私は思う。決して採ってきてはいけません。
コマクサに気分を良くしながら歩き始めると・・
なんと、私の登山靴のソールが剥がれてパカパカし始めたではないか!なんちゅうアクシデントだ。
早速、弟が持っていた紐でぐるぐる巻きに応急処置をしてくれた、が、まだ7合目辺りでこの先無理して登っても帰りのことを考えると引き返した方がいいと、ガイドの弟が言うので私も賛同し止む無く下山の途についた。
下山しながら思ったことは、今日は蛇さまに会えたし歩きながらいろいろと考え学びになったし、これで良かったんだなということ。
引き返す勇気を試されたような気がした。
無事、下山してふもとから岩手山を眺める。
きっと、また、来るね。
くつ、パッカン
わたし、笑う
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