新聞の「ひと」欄にこの映画監督のアンヌ=ドフィーヌ・ジュリアンが紹介されていて、私はその文章を読んだ途端に無性にこの映画が観たくなった。
何故?と聞かれても私にもわからない、理屈を超えたモノが私を揺さぶったから。
上映している映画館を調べるとシネスイッチ銀座のみ、しかも短期間のようなのですぐに時間を作って観に行ってきた。この映画、全国を上映して回るようなので気になる方は調べてみてね。
「子どもが教えてくれたこと」は、重病を抱えた5人の子どもたちのそれぞれを撮ったドキュメンタリー映画で、病院での日々を淡々と映し出している。そう、ありのままを淡々と・・そこには作為などないから見る側も自由に感じ取ることができる。
私の心に響いたことの中からひとつ紹介したい。
ある子は外泊許可が出て家に帰り、その時だけは病院から解放される。病気のため常に鼻から管を入れているが、それを一時外し、また入れなくてならない時お母さんに対してイヤだとその子は少し泣く。その時の母親の対応だが、泣き出した子どもに正面から向かい合い毅然とした態度で励まし、母親の手によって鼻から管を入れる。それから優しく子どもを慈しむ。私はこのシーンを観て母親の子どもに対する深い大きな愛を感じた。それから、食事のシーンでは子どもが母親に料理が塩辛いと訴えている、この子は腎臓病だから塩の摂取量を制限しているのであろう。母親は少し食べてみて「このくらい大丈夫」と受け流すと子どもは安心して食べ続ける。
子どもは病院でいろいろと我慢していることが多いから、家に帰った時は思いっきり母親に甘えたい、のコミュニケーションの形なのだろう。
他の子どもたちのエピソードも合わせて、私は心をザクザクと揺さぶられた。
私はこの映画の子どもたちから、日々の暮らしの大切さを教わった。すごくシンプルなことだけれど、そこに真実があるのだと思う。
私は日頃から子どもは大人に大事なことを伝える人だと思っている、さらに病気を抱えた子どもからのメッセージ性は計り知れず、本質をついてくるのだな、とつくづく感じた。身体丸ごとで感じられる映画だった。